カナダでキャリア模索中の30代の日常

カナダのトロントでワーホリ終了後にカレッジで幼児教育の勉強をしました。オンタリオ州のRECEとして働いた後、現在は発達障がいの方を支援する非営利団体に勤めています。

サンクスギビングは宗教的な祝日か

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今日はカナダのサンクスギビングです。今年はアメリカ在住のお義母さんが数週間うちに滞在しているので、私達家族はうちの自宅とトロント在住のお義父さんの家で2回お祝いしました。お義母さんもお義父さんの奥さん(彼のステップマザー)も敬虔なクリスチャンなのですが、彼と義兄、義妹、私には信仰心がないので少し気まずい瞬間を経験したりもします。

今うちに滞在しているお義母さんはシングルマザーで息子二人をアメリカで育て上げつつ、一人でコロンビアの家のローンも完済したというとても努力家な方なのですが、いつも全ては神のお陰であるという様に語られます。家では音声のバイブルを聞いていたりもします。

また、お義父さんのお家では毎年ディナーの前に家族のメンバーそれぞれが感謝の気持ちを述べるのですが、義兄が『今日のディナーと機会を準備してくれた両親に感謝します。』と述べたところ、彼のステップマザーが『私達でなく神に感謝しなさい。』と義兄に言ったことによりディナーの場が一気に気まずくなりました。高校生の義妹はさすがのZ世代で思考がリベラル、そして社会問題やマイノリティーの権利にも敏感なのですが、彼女のお母さん(彼のステップマザー)は超保守的価値観を持った方なので意見が衝突しているのを見ることもたまにあります。かく言う私も自分の父は政治的に右寄りな思考が強いので親と政治の話をする時はとても気を遣います。

私個人的にはサンクスギビングは家族と過ごし感謝を表す日として自分の中で消化しているのですが、元を辿ればプロテスタントの聖職者グループが入植者が作った政府に収穫祭としてサンクスギビングを導入する様に嘆願したそうです。サンクスギビング導入の目的の一つは、1859年にダーウィンの進化論が発表されましたが、それによりカナディアン・クリスチャンの信仰心が揺るがないように。二つ目の目的は1867年に英連邦制内の自治領となったカナダですが豊富な収穫は神のお陰であることとカナディアンは神に選ばれし民であること、そしてカナダが物質的に栄える宗教国家であることをカナディアンに気づかせる目的があったとされています。(これらの情報は以下の記事を参考にしました。)

www.thestar.com

しかし、その後は1870年代からサンクスギビングはより非宗教的に、商業的に変化していきます。アメリカのサンクスギビングの習慣(家族で集まり、ターキーを食べ、フットボールを観戦するなど)がカナダに根付くと同時にプロテスタント以外のコミュニティーにも段々と受け入れられていきます。そして1908年に、サンクスギビングが週の真ん中から月曜日に移行され三連休のロングウィーケンドとなるよう祝日化されたそうです。これによって、サンクスギビングは宗教的祝日から国の祝日へ変化を完了させました。

最近はカナダ・デーは祝わずに植民地化の歴史や先住民の迫害を振り返る運動などが盛んになって来ていますが、カナダの祝日の歴史を振り返るとカナダがどのようにできたのか、またカナダが抱える課題などが見えてきたりします。