カナダでキャリア模索中の30代の日常

カナダのトロントでワーホリ終了後にカレッジで幼児教育の勉強をしました。オンタリオ州のRECEとして働いた後、現在は発達障がいの方を支援する非営利団体に勤めています。

環境は第三の先生 - Environment as the Third Teacher.

現在トロントのカレッジにて幼児教育(ECE)の勉強をしています。

今日の記事は「環境は第三の先生」(Environment as the Third Teacher)についての記事です。


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私が住むオンタリオ州の幼児教育のガイドラインを読んでみるとイタリアのレッジョ・エミリア

教育方法(Pedagogy)がたくさん取り入れられているのに気付きます。

こちらはレッジョ・エミリア教育についての分かりやすく説明されたビデオです。

youtu.be

今日はこのレッジョ・エミリアのアプローチでもある「環境は第三の先生」について解説していきます。

 

レッジョ・エミリア教育では子供は有能であり可能性に満ち溢れている(Children are capable, competent and full of potential)という見方をします。なので大人から子供へ知識をインプットするのではなく、子供達自身が自ら知識を構成していくことが出来るという考え方(Constructivism theory)をします。教育者が知識を直接伝授するのではなく、あくまで私達は子供の学びをお手伝いする存在(Faciliater)となります。

なので子供達の能動的な学びを促進する為、子供達の興味をそそり、子供達が集中して自分のアクティビティに取り組める環境作りが私達教育者のとても大切な役割です。そして、子供達の学びはアート活動など遊びから生まれる(Play based learning)と考えられています。

私が初めて「環境」という言葉を聞いた時、真っ先に自分の頭に思い浮かんだのはインテリアや、マテリアルなどの物理的環境(Physical environment)なのですが、スケジュールや移動も大切な環境の要素となります。

デイケアセンターというと赤や黄色や青などとても鮮やかな色が使われていることが多い気がしますが、私が以前に訪レッジョ・エミリア教育のアプローチを取り入れているデイケアではクラスルームにベージュやブラウンなどのニュートラルカラーが使用されていました。インテリアにも木材などナチュラルな素材が使用されていて照明も明るすぎず、ヨガやメディテーションのクラスにいるようなとてもリラックスした気分になったのを覚えています。また、想像力を促進する様にオープン・エンディット・マテリアル(決まった使い方のないマテリアル)が多く、子供たちのその時々の興味に合わせてクラスルームのマテリアルも入れ替えられる様です。そして、マテリアルで混雑したクラスルームは混乱の原因となるので、マテリアルのバラエティーの豊かさは保ちつつも、厳選したマテリアルのみをクラスルームに残しているとのことでした。また、子供達の興味をそそる様なマテリアルのディスプレイの仕方やマテリアルの保管の仕方もとても大切で、子供達が大人の手助けを借りずにマテリアルにアクセス出来る様な工夫がたくさんされていました。 

そして、ランチタイムやお昼寝の時間以外はかっちりしたスケジュールが組まれていない様で、時間管理に関してはフレキシブルであることを重要視されていました。以前私が訪れた別のデイケアでは各アクティビティの時間が短かすぎる為か、子供達が目の前のアクティビティに集中しきれていない印象を少し受けました。なので子供達の状態に合わせてフレキシブルなスケジュールを組むことはとても大切だと感じます。

同じトロントといえども、各デイケアが何を重んじるかによってクラスルームの様子は様々です。私は1学期、プレイ・ベースド・ラーニングをコンセプトとするトロントで大手のデイケアにいたのですが、決まった使い方のあるマテリアルが多く、少しかっちり目のスケジュールが採用されていました。レッジョと同じイタリア発祥のモンテッソーリ教育デイケアに派遣されたクラスメイトの話を聞いてみるとマテリアルやECEの子供へのアプローチの仕方にまた違った特徴があるなと思いました。レッジョ・エミリアからモンテッソーリまで教育方法は様々ですが、良いところは吸収しつつ、常にクリティカルな視点を忘れずに自分の教育哲学を模索して行こうと思います。