先日、ツイッターでカナダ在住(オンタリオ州以外も含む)のECEのみなさんに時給に関するアンケートに協力して頂きました。
カナダ在住ECEの皆さん、時給はどのくらいですか?Provincial Wage Enhancementを加算した金額でお願いします。
— M🇨🇦🇯🇵 (@mariaincanada) July 22, 2023
私はほぼ毎日トロントのRECEの求人情報をIndeedなどのWebサイトでチェックしているのですが時給は20ドル台前半の求人が一番多いです。以前は20ドル台後半だとかなり良い方だったのですが、最近は30ドル台の時給の募集もちらほら見始めました。近ごろ時給が上がっているのはオンタリオ州がWage floorと表現されるECE専用の最低賃金の設定を始めたのも関係あるとは思いますが(今年の最低時給は$19)、インフレーションや人員不足の影響が大きいのではないかと思っています。
下記に『オンタリオ州はECEの人員不足を緩和するために賃上げをする ～$10デイケア拡大の危機～』というCBC Newsの記事があるので解説していきます。
オンタリオ州の教育大臣であるStephen LecceはThe Canadian Pressとのインタビューで『チャイルド・ケアのスタッフを維持または増員する為にはもっとインセンティブが必要である。オンタリオ州で増設予定の86,000のスペースを埋めるには数千人もの増員をしなければならない。ECE、チャイルド・ケアのスタッフの皆さんには今後政府が対策を強化することを保証します。』と語っています。
オンタリオ州政府は2022年に『10ドル・デイケア政策』を施行することを発表していて、その名の通りデイケアの料金を一日$10まで下げることと、ECEの時給を段階的に上げて行くことなどを約束しています。段階的にというのは2022年にECEの最低時給を$18に設定し一年毎に$1ずつ上げて行くのですが最終目標の$25に達するには2029年となんと6年後になってしまいます・・。ちなみに、オンタリオ州ではProvincial Wage Enhancement (PWE)と呼ばれる政府の時給補助が$2あり、こちらのECEの最低時給はこの$2を含む額なのですがPWEに関しては増額の話はまだ出ていません。
ちなみに、BC州では時給補助が$4、AB州では最高$8.62だそうです！オンタリオ州は他州に比べECEの資格取得に2年間通学が必要だったり、Colle of ECE(ECEの連合会)に会費を払って登録を毎年更新しなければならない(この理由でオンタリオ州ではResisterd ECE=RECEと表記されたりします。)など条件が厳しい割に給料に対する補償が少ないと個人的に感じます。
上の記事によると、オンタリオ州最大のデイケア運営者であるYMCAもスタッフの確保に苦労している様で、施設には空きがあるのにスタッフ不足で100%の運営が困難な様です。そして、2026年までにオンタリオ州では86,000スペースを増設予定ですが、チャイルド・ケアのコスト低下により将来的に需要がさらに増し220,000スペースが必要になるとも予想されています。
毎年、オンタリオ州では4,200人の生徒がECEプログラムに入学し、その内72%が卒業します。ですがそのうち半数の生徒だけが認可デイケアで働くことを選択します。より高い給料を求めて人々はデイケアより公立学校の幼稚園で働くことを求めてしまうのでECEの時給平均を$28まで上げるべきだと専門家に政府は言っています。その他は年金やベネフィットを充実させること、オンタリオの移民プログラムの優先職にECEを追加すること、学費無料かつ2年未満のECEプログラムの実施、ECEの価値を認知するためのメディア・キャンペーンを実施するなどがあります。
今後、オンタリオ州のECEの給料は確実に上がっていくとは思われます。ただそれが仕事の量と責任に見合った額であるのか、また、どのくらいのペースで上がって行くのかが焦点になると思います。そして私の住むトロントは特に物価が高い地域なのですが最近話題になったこんな記事がありました。
この記事の中ではトロントの労働者が1 Bedroomアパート(平均値が$2,572)を借り生活出来る様にするには最低時給が$33.60、2 Bedroomアパートに住めるようになるには最低時給$40が必要であると言われています。しかし、こちらは日本と違いハウス・シェアリングも盛んなので、一軒家のベースメントを借りたり、ベッドルームのみを借りてキッチンやバスルームを他のハウスメイトと共有するなどのリーズナブルな賃貸形式もあります。
ちなみに、これからオンタリオに移住を目的として来られる方にECEをおすすめするかと言われると私はおすすめします。まず、人手不足は逆に言うと引く手あまたなので就職に困ることは稀です。カレッジの専攻によってはなかなか自分が勉強したフィールドで就職が決まらない場合もあり、中には学生時代のアルバイト先で管理職になり移民を目指す方もいました。ですが、ECEのクラスメートは全員すぐにフルタイムの仕事を得ていました。また、他国から移民してきた方も多い業界なので慣れないカナダの社会に馴染んでいく段階でも辛さがあまりないと思います。また、カナダの多文化社会で生きるための倫理観や知識など学校や仕事を通してしっかり学べるので、特に義務教育と高校を日本で過ごした私には有りがたかったです。そして学校やデイケアで働くとコミュニティーの一員として社会を支えることが出来るのでカナダに対して帰属意識も芽生えました。そういう意味でも自分の仕事が好きで誇りを持っています。なので、ECEは給与が安いので違う業界を目指した方が良いとこれからカナダに来る方に私は言うことはないでしょう。ですが、給与を一定以上上げるにはスーパーバイザー以上の管理職を目指したり、ECEの知識をベースにもっと専門的な分野に進んだり教員免許を取ったりなどしないと大幅な昇給は難しいと思います。
以上、また記事を書きますね～！
